【姓名判断の仕組みと矛盾】 
 (1)画数に特別な意味はあるのか?

 テレビで、雑誌で、インターネットで、携帯電話で、次々と新しい占いが編み出され、今や占いは迷いや悩みを解決するための手段というより、集客力を高めるためのコンテンツとしての役割を担うようになってきました。中には、大きなブームを巻き起こすものも現れて、「占いは、ゲームと同じ。面白ければそれでいい」と割り切って楽しむ人たちが増え、そのゲーム的な要素は次第に色濃くなってきています。占いのもつ高いエンターテイメント性は誰もが認めるところでしょう。
 しかし、我が子の命名の際の占いとなると話は違ってきます。画数による姓名判断は、使い捨ての占いとは一線を画し、昔も今も、名付けの際の重要なアイテムの一つとして扱われています。「占いゲーム派」の人たちさえも、赤ちゃんの名付けというシチュエーションの前では占いと真剣に向き合います。  姓名判断が多くの人に支持される理由は何なのでしょうか。歴史のある占いだから?(実は、現在の姓名判断は昭和に入ってから出来上がったもので、それほど古いものではありません。)

 当たるのか?
 信じられるのか?

 占いに頼ろうとする人にとってこれは重大な問題のはず。しかし、姓名判断の本を読んでみても、占いのやり方は出ていても、なぜ、そうなるのかについては書かれていません。根拠や結果について統計的な数字が示されることはありません。
 姓名判断は、10人やそこらの都合のよい実例を挙げられただけで「はい、そうですか」と受け入れられるような軽い占いではないはずです。私は、遊びとしての占いは好きですし、携帯電話向けコンテンツの開発という仕事柄、占いに対しては寛容な立場です。しかし、根拠も示されない曖昧な占いの結果を鵜呑みにして、命名の拠りどころにするなどとても恐ろしくてできません。

 画数と運勢の関係は……あるのかもしれないし、ないのかもしれない。信じたい人は信じればいいし、信じない人は無視すればいい。深く追求する必要もない。それがこれまでの私のスタンスでした。そんな私が姓名の画数に関心をもち始めたのは、誘拐事件や殺人事件に巻き込まれた子どもたちの名前に普通とは違う不自然さを感じるようになったことからです。悲しいことに毎日のように不幸な事件がニュースで報じられています。被害者の名前を聞いて、「変わった名前だな、最近は個性的な名前が多いな」と何気なく思うことがしばしば。やがて、「画数と何か関係あるのか?」と気になり始め、ついには、名前の画数を統計的に分析しようと意を決し、10万人余りの名前を集めて画数を分析するという気の遠くなるような作業を行ったわけです。

 これまでに誰も画数についての統計的な研究結果を発表していないのも不思議なことです。このような研究をすると、どこかの団体から圧力でもかかるのでしょうか。(笑)
 画数に特別な意味はあるのか、それとも、ただの数字に過ぎないのか。謎を解き明かしていくことにいたしましょう。


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