【集計・分析結果2 姓名が伝えるもの】 
 (17)苗字に使われる漢字トップ20

 平民が姓を名乗るようになったのが明治時代の初期。そして、五格による姓名判断が発表されて世の中に広まり始めたのが昭和の初期。つまり、姓名判断が出現するより前に姓が決まっていたのですから、苗字の画数には、「この画数はよくないので他の苗字にしよう」などといった、作為的な要素が含まれていません。格の中で唯一、命名の際に確定していて意図的に画数を操作することができない格、それが天格です。
 当然ながら、時代や性別の影響を受けることなく、昭和[男]・昭和[女]・平成[男]・平成[女]がきれいに重なり合っています。しかし、グラフはジグザグで、滑らかなカーブにはなっていません。また、左右対称な山型にもなっていません。これは、苗字として好まれた漢字、用いられる頻度が高い漢字があって、画数に偏りが生じているためで、苗字が単に漢字を無造作に組み合わせただけのものではないことを示しています。

グラフ4-1 天格の画数別出現率
天格の画数別出現率

 日本人の苗字のトップ3と言えば「佐藤」「鈴木」「田中」ですから、「藤」や「木」や「田」を含む苗字が多いのだろうと想像できます。実際に、苗字にどのような漢字が多く使われているのか? 表4-1はその集計結果です。
表4-1 苗字に含まれる漢字トップ20
苗字に多い漢字
 含有率(%)は、その漢字が使われている苗字がどの程度あるかを表していて、例えば、圧倒的1位の「田」は14.7%ですから、日本人の7人に1人は「田」がつく姓を名乗っていることになります。「田」は、特に苗字の末尾文字としての使用頻度が高く、日本人の12.5%(8人に1人)が「○田さん」でした。(因みに、苗字の先頭に「田」がつく「田○さん」は2.1%)

 苗字の先頭文字、末尾文字に限って集計してみると、漢字によって、苗字のどの部分に使われるかが異なっていることが分かります。
・「小」「大」「佐」「高」を、末尾にもつ苗字はほとんどない。
・「田」「藤」「本」「野」「川」「村」「井」「木」「原」「口」は、先頭に使われるよりも末尾に使われる場合が圧倒的に多い。
・「山」「上」は、先頭にも末尾にも同じような比率で用いられる。
・苗字の先頭の漢字トップ5は、「小」「山」「中」「大」「松」。
・苗字の末尾の漢字トップ5は、「田」「藤」「本」「野」「川」。
 文字の組み合わせでは、「田+中」、「山+本」、「佐+藤」、「小+川」、「野+村」など、表4-1のトップ20の文字の組み合わせだけで構成される姓の人が全体の18%を占めていました。あなたのご近所のご家族、あなたの友達の苗字を思い浮かべてみてください。多くが、このトップ20の文字を含んでいるはずです。



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