【集計・分析結果2 姓名が伝えるもの】 
 (20)日本人が好んで名前に使う漢字

グラフ4-3
地格

 地格は、人格のグラフと似た形をしています。人格が必ず2文字で成り立つのに対して、地格では、2字ばかりではなく1字や3字の場合もあることから、画数の少ない部分と大きな部分での出現率が高くなるのではないかと予想されたのですが、人格のグラフとほとんど差がありません。これは、1字や3字に比べて2文字の名の比率が非常に高いからです。集計の結果、日本人全体の約74%が2文字の名であり、男性名では約80%と、女性に比べて高い比率となっていることが分かりました。

 女の子の名前は、1920年頃から1960年頃までの長きに亘って「子」の付く名前が人気の上位を独占する時代が続きます。「○子」は、もともと、皇族や華族のみに与える事が許された高貴な名前であり、子どもの幸せを願う親が皇族や華族にあやかりたいと「子」を付けたことから広まったと言われています。
 その後、「子」と「美」の共存を経て、1980年代半ばには「子」が上位から姿を消し、「美」もまた昭和の終わりとともに減少を始めて、1992年(平成4年)頃には「子」も「美」も人気の上位にほとんど姿を見せなくなります。

 末尾文字の多様化とともに、平成に入ってからの大きな変化の1つとして、愛・彩・舞・萌・遥・茜・葵などに代表される1文字の名前の台頭が挙げられます。
 男の子の名前では、平成に入る頃から、「大輔」に加えて「大樹」「大輝」「大地」「大貴」「雄大」に代表される「大」のつく名前がブームとなり、平成10年頃になると「翔」や「斗」「海」「航」「翼」など、昭和の男性名にはほとんど見られなかった漢字も使われるようになってきます。
 男女ともに、平成初頭から、名前に対する意識の変化が生じていると考えられますが、地格のグラフを見る限り、命名の際に姓名判断が幅を利かしているという点は変わっていないようです。
 表4-3は、時代による名前の使用文字の違いを示したものです。

表4-3
名の漢字トップ20

[男性]
 昭和と平成、両方のトップ20に登場する漢字 【一・郎・和・之】
 昭和から平成になってトップ20から消えた漢字 【正・夫・雄・彦・治・男・幸・明・二・隆・司・博・義・秀・弘・英】
 平成になってトップ20に入ってきた漢字 【太・大・也・平・樹・貴・介・人・翔・裕・健・祐・拓・真・輝・亮】

[女性]
 昭和と平成、両方のトップ20に登場する漢字 【子・美・恵・由・紀・千・真・香・奈・佳・里・理】
 昭和から平成になってトップ20から消えた漢字 【代・和・智・江・幸・枝・久・裕】
 平成になってトップ20に入ってきた漢字 【菜・沙・彩・希・愛・優・麻・実】

 変化が激しいと思われた女性名では、昭和と平成とで多くの漢字が共通して使われています。むしろ、男性名のほうが時代による入れ替わりが激しくなっています。
 使われる漢字の人気が変化して時代による漢字の入れ替わりが起こっても、結局は1画から12画くらいまでの漢字が多く使われていることに変わりはなく、画数の面から見ると大きな変化は生じません。漢字の変化に関係なく、姓名判断が時代を越えて続行されてきたため、地格のグラフには時代による大きな差は表れなかったのです。



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