【集計・分析結果2 姓名が伝えるもの】 
 (21)名の末尾文字として人気の漢字は?

 名の末尾文字について考察してみましょう。表4-4は、名に使われる漢字のうち、末尾文字としての使用頻度が高い漢字の一覧を示したものです。

表4-4 名の末尾に多く使われる漢字(全体の2%以上を占める漢字)
名の末尾
 男性名では、昭和で使用頻度の高かった上位11文字のうち、平成に引き継がれたのは「一」と「郎」だけで、全体が大きく様変わりしています。特に、昭和で多用されていた「お」(夫・雄・男)、「じ」(治・二・司)は、平成ではほとんど使われることがなくなりました。
 末尾文字のバリエーションが最も少ないのは昭和の女性名で、子・美・代・恵・江の5つだけで76.7%を占めています。昭和の女性の、実に4人に3人がこれらの5文字のどれかを末尾にもつことになります。
 代・江・枝(1.7%)は昭和時代の人気文字でしたが、平成に入ってからはあまり使われなくなっています(平成生れの女性では、代=0.5%、江=0.4%、枝=0.4%)。また、昭和の終わりころから急激に減少を始めた「子」の割合は、集計を行った平成19年の時点(平成元年生れから平成19年生れ)では、13.4%まで低下しています。
 昭和の終わりころから「子」が年々減少してきたというのは確かな事実ですが、この傾向が今後も続いて、「子」がほとんど消えてしまうのかと言えば、そうとも言い切れません。明治安田生命発表の「名前ランキング」によれば、2004年の「女の子の名前ベスト100」に入っていた「子」のつく名は、莉子の1つだけでしたが、2007年では、璃子、陽菜子、桜子、莉子、桃子の5つに増えています。この先、平成生れが時代の中核を担うようになるころには、「子」で終わる名前が新鮮に映るようになることでしょう。そして、子供の名前ベスト100に○子さんがいくつも名を連ねるときが来るのかもしれません。

 平成19年に総務省が発表した推計人口分析結果(平成19年10月1日現在)によると、昭和生まれの人口は総人口の78.2%、平成生まれの人口は同16.3%。この数字を基に、昭和女性1万人・平成女性1万人のデーターを補正した全国日本女性の末尾文字「子」の占有率は51.1%となり、現在の日本人女性の約半数が「○子さん」であると推定されます。(2番目に多いのは「○美さん」の9.3%)
 同様の補正により、現在の日本人男性の末尾文字で最も多いのが「一」であり、その占有率は5.2%であると推定されます。(2番目は「郎」の3.8%)



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