【姓名判断の仕組みと矛盾】 
 (3)姓名判断の五格はこうして作られた

 「(2)単なる文字の組み合わせなのに」では姓名判断における5つの格の役割について記しましたが、なぜ、それぞれの格にこのような役割が与えられたのか? どうやら、その格が姓名のどの部分にあるのかに関わっているらしいのです。
五格
天格 代々受け継がれるものだから、祖先運や家柄を表す。
人格 人名の中心にあるから、主運を表す。
地格 人名の下部であるから、幼年期・青年期の運勢を表す。
外格 人名の外側部分であるから、外的な要因による運勢を表す。
総格 人名の全画数の合計であるから、人生全般の運勢を表す。

 姓名判断では、その人の一生を占うという必要上、人生のどの時期をどの格で占うのかも決めておかなくてはなりません。幼年期・青年期は、姓名の下部分である地格に対応させる。では、中年期と晩年期はどうしようか? 人格は姓名の中ほどにあるから、中年期の運勢を表すことにしよう。晩年期については、姓名の上部分である天格に当てるのが妥当だが、名前を決める前から予め確定している苗字で晩年の運勢を決めてしまうわけにはいかない。晩年用の丁度よい格が見つからない。総格は姓名全体の画数の合計だから人生全般の運勢を表す格としたが、晩年期の運勢をも兼ねることにしよう。こんな感じで決められていったのではないでしょうか。

 本来であれば、実在した多くの人を対象にして、「実際の青年期の運勢はどうだったのか」「中年期や晩年期はどんな様子だったのか」「恋愛運や結婚運、仕事運はどうだったのか」を調べ、統計的な結果から、青年期の運勢と結びついている格は〇〇、結婚運と関わっている格は〇〇、といった関連付けから格の役割が決められるべきでしょう。
 しかし、おそらく、大量のデーターを分析するような作業は行われず、格の働きは、その格が姓名のどの部分にあるかというだけの非常に単純な理由によって、机上で機械的に割り振られていったのだと考えられます。そこには、統計的な根拠は見出せません。

 なお、本サイトでは、「人格と恋愛運の関係はどうなのか」とか、「地格と青年期の運勢はどの程度関連しているのか」とかいった、個々の格と運勢の種類との関係についての調査や検証は行いません。と言うより、そのような研究を行うだけのデーター(名前と人生の関係の実例)を揃えることは不可能に近いだろうと思われます。

 さて、五格を構成する文字の配置を見ていると、どの部分の文字も平等にカウントされるようになっていることに気付きます。
 例えば、「田中 陽菜」さん、という名前の五格は次の文字の組み合わせになっています。ちなみに、田中さんは、最もポピュラーな日本人の苗字のひとつ。また、陽菜さんは、ここ数年の女の子の名前ベスト10の常連として上位に登場している名前です。

①② ③④
田中 陽菜
天格=①+②
人格=②+③
地格=③+④
外格=①+④
総格=①+②+③+④

となって、どの文字も平等に3回使われる仕組みになっているのです。これは、「田中丸 陽菜」さんでも「田中 陽菜子」さんでも、同じです。名前のどの文字にも偏りがないように占いを行う方法として、これら五格が定められたのでしょう。先人の苦心を垣間見る思いです。



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