【姓名判断の崩壊と再構築】 
 (43)良い画数・悪い画数は存在しない

 既存の姓名判断では、天格・人格・地格・外格・総格の別なく、すべての格が、同一の吉凶表によって占われます。(天格用の吉凶表、人格用の吉凶表、地格用の吉凶表といった使い分けは行われません。)
また、どの流派でもほぼ同じ内容の吉凶表が用いられていて、5・6・11・13・15・16・21・23・24・29・31・32はよい画数、4・9・10・12・14・19・20・22・26・28・34は悪い画数とされています。果たして、このように画数の良し悪しを画一的に決めつけることができるものなのでしょうか?

 資産家の名前に多いのは、外格の6画、地格の8画と12画です。この画数を吉凶表で照らし合わせて見ると、6画=大吉、8画=吉、12画=大凶となっていて、3つのうち2つは姓名判断の吉凶表と一致するようです。ところが、医師の名前に多い画数(プラスの異常点)で調べてみると、吉凶表では、6画=大吉、9画=大凶、10画=大凶、11画=大吉、12画=大凶、14画=大凶、19画=大凶となっていて、7つの画数のうち5つが“はずれ”なのです。悪い運勢の代表である事故死者の名前を見てみても、事故死者に多い12画(人格と地格)=大凶で“当たり”なのですが、13画(天格)=大吉で“はずれ”です。
 資産家はよい運勢の人、医師はよい職業、事故死は悪い運勢という前提(多くの人がそのように考えているはず)においての判定ですが、姓名判断で用いられる吉凶表は、当たるも八卦当たらぬも八卦の運まかせ・・・、そこに画数と運勢が結びついているとは到底思えません。

 よい画数とは、職業の適正や運に対してプラスの方向に働き、促進する力をもつ画数だと考えることができます。また、悪い画数とは、職業や適正にマイナスに働いて足を引っ張る画数だと言えます。つまり、明らかとなった異常点のうち、プラスの異常点がよい画数を、マイナスの異常点が悪い画数を表しています。
 ただし、犯罪者と事故死者のグループだけは、プラスの異常点を悪い画数、マイナスの異常点をよい画数として扱わなければなりません。プラスは、犯罪や事故を促進し、マイナスは抑制すると考えなければならないからです。


グラフ6-1 グループ別、14画での一般姓名との出現率の差
14画
 14画という画数だけに限定し、15グループの五格すべてについて、一般姓名との出現率の差を1つのグラフにまとめたのがグラフ6-1です。これにより、14画での各グループの出現率の傾向を直感的に把握することができます。
 医師、スポーツ選手では、全体がプラスの方向を向いていますから、14画は、両グループにとってはよい方向性をもっていると言えそうです。しかし、犯罪者のグループでも同じくプラス方向ですので、この場合は悪い画数ということになります。
 政治家や音楽家では、ゼロ付近に集中していますから、どの格も14画とは関係していません。また、他のグループの多くはゼロを挟んで分散していて、よいとも悪いとも言えない状態です。
 このように、あるグループではよい画数に見えても、他のグループでは悪い画数であったり、無関係な画数であったりする場合があり、同じ画数でもグループによって画数がもつ意味は違ってきます。
 特定のグループにおいても、例えば、天格と外格はプラス、地格と人格はマイナス、総格はゼロに近いといったように、格によってその画数のもつ意味合いは異なっていて、よい画数、悪い画数などと数字と吉凶を単純に結びつけることはできないことが分かります。
 もし、14画について吉凶を定義するのであれば、「地格が14画の人は医師と文系の大学教授に向いている」、「外格が14画の人は犯罪に巻き込まれる可能性がやや高い」、「天格が14画の人は事故に遭う確率がやや低い」などのように、格ごと、グループごとに画数の意味を定めなければならないのです。



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