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昭和の前半生まれくらいまでは、親の使う方言を聞いて育ち、多くの方言を知っていました。その後、マスメディアの発達などによって、普段の生活の中でも標準語が優位となり、世代の交代とともに使う方言の数も減少していきました。しかし、そんな中でも、言葉の語尾に「~だら、~ら」「~だに、~に」を付けるこの地方独特の方言は、今の子供たちも当たり前に使っていて、今後も受け継がれていくことでしょう。また、「鍵をかう」「洗濯物をよせる」といった表現も自然に使われていますから、これらも長く残る方言になるのではないだろうかと思います。ここでは、これまでにこの地(静岡県浜松市の北部)で聞いた事のある方言を次の3つに分類してみました。
「A」=今も使われている(子供たちも使う)と思われる
「B」=中年以降は使うことがあるが子供達は使わなくなったと思われる
「C」=年寄りだけが使う(聞いたことはあるが使う人がほとんどいない)と思われる
あいく | 歩く | 孫がよちよちあいく | C |
あいさ | 間、隙間 | 本のあいさに写真をはさむ | B |
あいまち | 過ち | あいまちを犯す | C |
あからむ | 実が熟す | 柿の実があからんできた | B |
あからん | 開かない | 戸があからん | C |
頭を切る | 床屋に行く | 頭を切ってきた | B |
あんもー | 餅 | あんもーを食う | C |
いきれる いきる | 蒸し暑い | 今日はいきれる | C |
いごく | 動く | そこからいごくな! | C |
いじゃ | 行こう (誘いの言葉) | いっしょにいじゃ | C |
いずようがない | 居ずらい | 辛くていずようがない | C |
いぜる えぜる | いじる 触る | いぜるな! | C |
いっとん | 一番 | いっとん前にいる人 | C |
いのく | 動く | やっといのいた | C |
いらんこん | 余計なこと | いらんこんするな | B |
えがむ | ゆがむ | 箱がえがんでる | C |
えごえご | 曲がりくねって、 美しくない様子 | 切り口がえごえごだ | B |
えぞる | なぞる | 先生が書いた字をえぞる | C |
えみ いみ | ひび割れ | ガラスにえみが入る | C |
えらい | しんどい | 今日の仕事はえらかった | B |
おおぼったい | 腫れぼったい | まぶたがおおぼったい | C |
おだいさま おーだいさま | お金持ち | あそこの家はおだいさまだ | B |
おっさま | 和尚さん | おっさまが来た | B |
おどける | 驚く | あれには本当におどけたよ | B |
おやす | 身体を悪くする | 無理するとからだをおやす | B |
かーばり かーばりつく | 口や衣服についた 食物が乾燥した状態 | 服にご飯がかーばりつく | B |
かーる ひっくりかーる | 倒れる | 自転車がひっくりかーる | B |
がっそをかぶる | ぼさぼさの髪 長髪 | がっそをかぶってる | C |
鍵をかう | 鍵をかける | 鍵をかわんと危ないよ | A |
かえち | 着替え | かえちを持ってでかける | C |
かたす | 仲間に入れる | 大人はかたしてやらない | B |
かっちんだま | ビー玉 | かっちんだまで遊ぶ | B |
きいない | 黄色い | きいない洋服 | C |
きんの | 昨日 | きんの雨がひどく降った | C |
くすがる | 刺さる | トゲがくすがった | B |
くらぼったい | うす暗い | くらぼったくて見えん | B |
くろ | すみ、端 | 道のくろを歩く | B |
くろまわり | 端の方一帯 | くろまわりが汚れている | B |